運用開始日とドローダウン

FX取引では「損切り」や「含み損」などの言葉が多数あります。自動売買システムにおいては「ドローダウン」という言葉をよく耳にしたことがあるのではないでしょうか?

ここではドローダウンについて解説し、運用開始日から見る心理的な違いをご説明します。どんなに優秀なEA(自動売買システム)であっても、年間を通してプラスで回っているEAでも、ドローダウンが起こるタイミングによって各人の印象が大きく異なります。

ドローダウンとは?

ドローダウンとは、一時的に最大資産から落ち込んだ場合の下落率のことです。簡単に言うと、「口座に入っている資産からどれぐらいの損失が出たか」です。例えば、口座資産が100万円あり、ドローダウンが10%だと一時的に資産が90万まで落ち込んだということになります。

ドローダウンの中でも一番重要なのは、最大ドローダウンです。最大ドローダウンとは、ドローダウンの中でも一番大きい下落率を指します。下記のグラフを参考にご説明します。2020年3月のあるMAM口座の取引履歴です。

3月2日から100万円を運用して3月20日には976,881円になったので、マイナス23,119円で約2.31%のドローダウンの状態です。緩やかに下降傾向にあるのがわかります。

それではこの期間の最大ドローダウンは何%でしょうか?

最大ドローダウンは、3月9日の残高1,254,574円から20日の976,881円への下落幅です。-277,693円です。約-22%下落したことになり、これがこの期間での最大ドローダウンです。

運用開始日と心理的印象

次にこのグラフ全体を見たときの第一印象はどうでしょうか?

今月は一時的にプラスになったりマイナスになったりで、9日まではかなりのプラス、それからはドローダウンが起きているかもしれない、と多くの人は考えるはずです。

楽観的に見ると、3月2日から9日までの数日で254,574円も増えたのだから、6日運用で25%の利回りです。この6日間だけを見ると、「これは18日運用すれば月利75%近く出るとんでもないシステムなのかもしれない」、「最大月利75%の最強システムだと言える!」、「年利で計算すると・・・、いくらだろうか」などと皮算用をし、借金までして運用してしまうかもしれません。

他方、3月10日から運用を始めた場合はどうでしょうか?

1日で-125,881円も資産が減ってしまい、「これはとんでもない粗悪品ではないのだろうか?」、「もしかしたら10日もしないで全資産がなくなるリスクがあるかもしれない」と考えてしまいます。

前者と後者、両方とも考え方は間違っていません。

このように運用開始日とドローダウンが起きるタイミングによって、EAやMAM口座に対する第一印象は大きく異なります。一日単位で見れば5%10%という差のある数字ですが、週間や月間、さらに長期で見るとその数字は均等になることが一般的です。

当社でご紹介しているMAM口座は、損切りがあり、トレーダーがシステムを管理しているため、大きな経済問題が起こってもそう簡単にドローダウンが起こらない仕様ですが、投資という性質上、どうしてもこのような心理的な見解の違いが起こり得ることはご理解いただければ幸いです。

最近はSNSなどで影響力のある人が、このグラフを参考に利率が急上昇した部分だけを説明すればたくさんの人が投資をし、ドローダウンの部分だけを説明すれば、たちまち粗悪品と認定される状態です。さまざまなリスクを正しく認識したうえで、大切なのは、自分のマネープランに適した「自分のルール」を作り、それをしっかり守ることです。

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